2010年 07月 17日
それほどやる気はなかったものの、 案の定どんどん進んでたどり着いたのがギアドライブ。 今現在我が家には2台のギアドライブがあるが、 音もそうだが、その圧倒的存在感がありがたい。 手軽に音楽を聴けることが、本来はあるべき姿なのかもしれないが、 それが技術が進んできた道かもしれないが、 いや、 安直であってはいけない物事だってあって、 安直であって欲しくない物事だってあって、 そこを大切にしたい人は、 「技術の進歩」は、ある時点からは簡易化、簡便化への道に過ぎず、 決して本質の改善ではないことが多いことに気付いてしまう。 と、 こんなことばかり書いていると、いつまでたっても始まらないが、、。 今現在我が家には2台のギアドライブがある。 こいつ達とて、 ありとあらゆる聞き比べから選択されて、生き残ってここにいる。 やっと終着点にたどり着けたかと思える。 感慨もひとしおだ。 ただ私の場合、 この2台を2台とも使っていくのは、 精神的、肉体的、経済的に出来ないこと。 だから、 どちらかを、 強く望む人に譲ろうと思った。 幸いにして、複数の人から望まれた。 ありがたいことだ。 この2台のどちらを譲るのか、 それは、 求める人に決めてもらおうと思った。 もはや私にはどちらでもいい。 この2台なら、どちらが残っても不満はない。 2台とも、それぞれ精一杯の力を注いできたつもりだから。 愛着も同じだ。 ギアドライブのターンテーブルの話題になった時、 いつも問題になるのはそのノイズ。 「音は最高なのだが、あのノイズでは家庭では使えない」というのが定説。 確かめるすべもなかった時は、私もそうなんだとその定説を鵜呑みにしていた。 現実的にも、 私が最初のギアドライブを手にすることを決め、その到着を待っている時、 ある有名なヴィンテージショップでギアドライブプレーヤーを見る機会があった。 音は聞けなかったが、動かしてくれるというのでほいほい後を付いて行った。 先ず動かしてもらったのは、フェアチャイルドのギアドライブプレーヤー。 電源を入れ、スイッチをONとすると、 部屋中に町工場のような騒音が響き渡った。 びっくりした。 何だこれは! と思った。 音楽を聞くのに邪魔になるなんてレベルじゃない。 音楽を聴くなんて不可能だ。 店主は、 「メンテしたての時は、もう少し静かだったんですけどね~」 なんて言った。 もう少し? もう少ししか静かにならないなら、こんなものは使えない。 他のギアドライブも動かしてもらったが、 ノイズは五十歩百歩だった。 まさに私が知っている世評の通りだ。 しかしね、 おかしいと思わない? ギアドライブプレーヤーって、当時はスタジオや放送局で使われたんだよ? プロが選択してつかってたんだよ? そんなにうるさくて使い物になるか? 結局、メンテを頑張る人がいないということだね。 今ならそう断言できる。 ヴィンテージショップでさえ、あのありさまだ。 完調の状態など知る人がいない現在、 その機械をどこまで信じて、どこまで頑張れるかに全てはかかっている。 ギアドライブプレーヤーを作っていたメーカーは、 私の知る限りは3社。 RCAとフェアチャイルドとプレスト。 それぞれに構造が違っているのが面白いが、 これも世評ではプレストが図抜けて素晴らしいということになっている。 しかし、 今や私はこの世評も全く間違いだと断言する。 RCAとプレストは、全く横並び。フェアチャイルドもそうに違いない。 音は構造の違いと同様、それぞれに全く違う。 しかし、 その魅力は全く横並び。 ここではあえてその魅力の違いには触れないが、 RCAがプレストに劣るなんていうことは全く無い。 では、何故プレストの神話が生まれたのか。 上で書いてきたとおり、 ギアドライブプレーヤーというのはメンテ勝負。 恐らく、現在までまともなメンテをされ続けてきた個体など無いだろう。 では改めて我々がこういう機器に手を出そうとした時、 完全なメンテナンス、完全なレストアを行おうとした時、 最もノイズが少ないのがプレストなんだ。 下の写真で構造を想像していただければ理解できるだろうが、 プレストは贅沢にも3モーター。 本当に贅沢に作ってあるが、考えてみれば、これは最もプリミティブな構造。 よって、メンテナンスする我々にとっては、最も初期性能を出しやすい。 そんなところからプレスト神話が生まれてきたんじゃないか? 逆に言えば、完全にメンテナンス、レストアされたRCAやフェアチャイルドは ほとんど存在しないのではないだろうか。 ヴィンテージショップでさえ、あの程度のメンテナンス・レストアしかやらないんだ。 我々だけが、こいつらをメンテナンスできる。 私はプレストを手放すことにした。 ギアドライブを使いたいと言ってきた人は、私の先輩にあたる。 穴だらけのRCAをお渡しするわけにもいかないから、 外装も整えたプレストをお譲りすることにした。 後は、愛情をかけてもらうことを祈るのみだ。
by johannes30w
| 2010-07-17 15:41
| オーディオと音楽
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