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2014年 05月 20日

信じる力と諦めない心 2

パティオに向けられた210を見て、一同ははぐうの音も出ない。

ただ、かまじいさんは、その前で一人たたずみ続けていた。

誰よりも、誰よりも長く、スピーカーの前に立っていた。

何をしているのだろうと不思議だったが、

彼のブログを見て合点がいった。

あのウーハーユニットと見つめあっていたんだね。








210システムは2ウエイで鳴らされていた。

自分の背丈をはるかに越えたところに置かれているホーンを見れば、

さぞや不自然なバランスで鳴りそうなものなのだが、

何故だか非常にナチュラルに鳴っていた。




そんなことより、なにより、

静かに鳴る音楽を聴きながら心地よいパティオで憩うこの時間のなんと贅沢なことか。





しかし、

非常にナチュラルに聞こえるこの音も、

TOTOさんの大きな努力の上にあることを忘れてはならないね。

場所があって、お金があって、時間があったところで、それだけではこの贅沢は得られないんだ。







いろいろなことを考えていたら、

いよいよバーベキューが始まった。

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TOTOさんは、本物の但馬牛を用意してくれていた。

その旨いこと!


今まで旨い肉も様々食べて来たが、この肉は三本の指に入るだろうな。



おなかがいっぱいになったがまだまだ口はいやしく、

なんとか食い尽くしてやろうと頑張ったが、

とうとう残してしまった。

なんとも悔しい!!



しかし、おなか一杯の上にねじりこんだその肉も、最後の最後まで美味しかったのには驚いた。

気が付けば、ビールもほとんど飲まずにひたすら食べていた。

いやしいのにもほどがあるなとちょっぴり反省しながら、

210システムに見守られながらの最高に贅沢なバーベキューだった。




みんな座り込んでなかなか立てない。




満足感に浸ってしまうと次の行動はなかなかできないものだ。





意を何度も何度も決して、皆を鼓舞して立ち上がる。

次のシステムを拝見するのが今日の本当の目的なのだ。

TOTOさんといえばRCA





RCAの本物のシステムに会いに、

道を歩く。

最高のお日様と気温。

何も不足の無い我々のこの気分のままでRCAに出会っていいものかどうか。

妙にハードルが高くなっている気がするのだが。。。






TOTOさんがシャッターを上げるとそいつはいた。

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皆が息を飲んだのがわかった。

この存在感はいったい何なのか。

巨大な故の存在感なら、あのパティオの210システムの方が巨大なはず。



このRCAシステムに比べれば、あの天下の210システムも間に合わせにさえ思えてくる。

私の4550なんか薄っぺらなおもちゃだ。






Ubangiエンクロージャーのそのつくりは凄い。

「それも米松でしょうね」と教えてもらったが、アルテックやJBLと同じ米松とはとても思えない。

圧倒的に重厚で、どこまでも本気で作られているように感じる。



確かに時代も違うしメーカーも違う。

エンクロージャーも違って当然だけど、ここまで根本的に違うものか。








ホーン部は

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RCAの特徴的な二階建てホーンだね。

この一本一本のホーンがJBLやアルテックと違ってじつにのびやかにたっぷりと作られている。

この立派なホーンの長さが判るだろうか?



二階建てホーンの意味を考えてみて欲しい。

TOTOさんのブログの右肩の写真を見てもお判りだろうが、

これは明らかにシアターの一階席と二階席にそれぞれのホーンが向けられたものだね。

一階席用には近距離用で指向特性が広いものが用いられている。

上の段には二階席用のロングスローの挟角の指向特性のものが使われる。

一階席用と二階席用をこんなにはっきり使い分けるのは、

アルテックやヴァイタボックスのマルチセルラホーンとは全く考え方が違う。

マルチセルラホーンの発展型が今私自身が使っているバイラジアルホーンであると考えている私にとっても、

このホーンは実に興味深い。



最初にRCAの二階建てホーンを知った時は、

そのそれぞれのホーンが独立して、それぞれにドライバーが与えられていると思い込んでいたが、

違った!

ダブルドライバーは、スロートで一旦融合され、その後それぞれのホーンに振り分けされる。

ここの部分の考え方も、JBLなどとは全然違う。

JBL2350ホーンなどで用いられるダブルスロートは、ホーンの水平方向に対してそのまま水平方向にドライバーは2個装着される。

しかし、このRCAのダブルスロートは、左右のドライバーから合わせた音を上下に振り分ける。

ま、

JBLとは使われる場所も目的も違うので、考え方が違ってくるのも当然なのだ。

RCAのシステムはスクリーン裏に設置され、一旦設置してしまうと動かすことはあり得ないし、

JBLのシステムはそのほとんどがライブコンサートでのPAとして使われるので、頻繁に設置解体が繰り返される。

それぞれの得意不得意が出てきて当然なのだが、

JBLユニットを使う我々としては、自分のシステムの設置解体を繰り返すことも無いので、

固定設備としてのRCA方式が気になることは確かなんだ。



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JBLを見慣れた我々にとっては奇異にも思えるこのスロートも、

じっくり見ていけば実に理に適っているように思える。





さあ、

聞かせてもらおう

TOTOさんは、先ずはシングルドライバーで鳴らすと仰る。

昨夜の音出しではダブルドライバーは聞くに堪えなかったと言う。



TOTOさんの音だから、反対する理由も無く、

仰る通りに聞かせてもらう。

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これは!





明らかにバランスはおかしい。

ウバンギユニットから放出される低域が明らかにすべてを支配している。

しかしその低域は、私の聞き馴染んだJBL4550の音とは全く違い、

不思議なことに実にナチュラルだ。







これは、初めて聞く音だ。

JBLともアルテックとも違う。

もちろんウエスターンとも違う。


それらより圧倒的にあたたかい。

まさに血の通った音で、逆に言えば、オーディオの音とは正反対の音だ。



驚くべきはその説得力で、

その不満を覚えるバランスの悪さをものともせずに、

実に魅力的は音楽を聴かせてくれる。

あれこれ考えずに、

そのまま、

この包み込まれる音に身を任せて聴き続けたい。






RCAのドライバーユニットは、フェノールダイアフラムであるらしい。

そればかりが理由では無いに違いないのだが、

それでも「うんうん」と頷きたくなる。



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ウバンギエンクロージャーのつくりは実に素晴らしい。

これこそ本物のエンクロージャーだと言いたい。

プロ機のエンクロージャーはその作りが雑であるから、

家庭で使うにはあまりに違和感があるというのは、

アルテックやJBLのことを指していることに気が付く。

このRCAのエンクロージャーは、

その色を除けば実に本気で緻密に作られており、

これならば、家庭に置いてもそれほど問題ないのではないか?

大きさを無視すれば。。。








ウバンギシステムの反対側には、シアター完成時にはセンタースピーカーとして想定されたアルテックシステムがあった。

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白いポロシャツの背中はかまじい氏。

皆がウバンギシステムに気を取られている間に、背後で何やらごそごそと物色されていたようだ。

TOTOさん、何か無くなったアンプなどありませんか?





このアルテックシステム、

こいつもしっかりダブルドライバー仕様になっていた。



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これはエレクトロボイスのドライバーだね。

聞けば、ウーハーにはクリプシュのユニットを使われているらしい。



もちろん聞かせてもらった。

が、



これは酷い!


TOTOさんは、こっちがましかもしれないという意のことを仰っていたが、

いやいやこれはいただけない。



エンクロージャーもユニットも混成部隊のせいもあるだろう。

特にクリプシュのウーハーが、全く場違いだった。





でも、

なるほどと感じることもあった。

TOTOさんにとって、

RCAのウバンギシステム以外はまだまだ注力するのに値しないのだ。

そのほかのシステムは、もはや手慰みな存在なのに違いないんだ。






不思議な日本ビクターのシステムも聞かせてもらった。

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右でシステムをにらみつけているのは大魔神ではなく、我がご家老。




この猛烈に頑張ってるシステムは、

しかしその血は隠せず、実に日本的であった。

なんだか不憫にも思えるくらいに日本的だった。

でももちろん酷い音なんかでは無く、

こんなのが一台あれば、それでもう十分じゃないかと感じられた。




とにかく一通り聞かせてもらった。

皆がそれぞれの感想を持ったようだったが、

先ず口をそろえて言い出したのは、

その部屋の環境の素晴らしさだった。

この「酷い」とも「素晴らしい」とも言える環境も、

この音が無ければ単に「酷い」とこき下ろされていたに違いない。

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しかしこの環境は、完全に仮のものである。

TOTOさんは、本気でシアターを考えているんだ。

それが夢で終わるのか実現するのかは誰にもわからない。

TOTOさん自身も判らないだろう。

しかし彼は決して諦めはしない。

このRCAシステムが音を発するまででも、どれだけの年月を彼は頑張り続けてきたことか。













RCAウバンギシステムを、ダブルドライバーで鳴らしてくれるように頼んだ。

TOTOさんは、

「やっぱり。。  シングルだけでは許してもらえないと思っていました」

なんで言った。



出来ますか?  と尋ねると、

配線を変えるだけで簡単に出来ますと答えてくれた。



それはそうだろうと言うなかれ。

彼は、その巨大なナットワークも配線しなおした。

そう、このシステムは、すべてマッチングトランスが組み込ませているんだ。






ダブルドライバーが歌い出す


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ずいぶん時間が経ってしまったが、

あの時の音は忘れ得ない。



全てが過不足なく成就された音だった。

しかも魅力あふれて。





皆が息を飲む。



あれこれ言うべきではない。

ウエスタンと並び立つ本流の堂々たる音。



JBLやアルテック等の支流では無く、あくまでそれは本流で、

しかも我々が慣れ親しんだウエスタン系の音とは一線を隔する。





もう何も言う必要は無い。

私ごときが、これ以上の望むべきものを知らない。




ああ、

このRCAの大きな流れは断絶してしまったんだ。

この音が失われたなんて、これは人類の大きな損失だ。











しかし、本当の驚くべきことは、

この練り上げられた音が、いきなり出てくれていることなんだ。



TOTOさんが何年も何年もあれこれ弄って練り上げたわけじゃないんだ。

TOTOさんがやったことはただ一つ、

RCAを信じたこと。











TOTOさんは、我々のようにつまらないことを考えるのではなく、

ひたすらRCAを信じた。

彼にとって妥協することは、オーディオを諦めることと等しかったに違いない。




彼は恐ろしいまでの執念で、RCAシステムのコンプリートを行った。

ウバンギエンクロージャーに始まり、ウーハーユニットも、ドライバーも、ホーンも、

そして、この巨大なネットワークも、

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パワーアンプも、

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そして、

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マッチングトランス。

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これだけのシステムを組むのにどれくらいの努力と年月がかかっているか、

我々は知っている。




お店でポンとシステムを買っているのとはわけが違う。

そういう買い方では決して得ることができないものが、

この音にははっきりあるんだ。



訳知り顔で、アルテックのウーハーを使ったり、JBLのドライバーを紛れ込ませたり、中途半端なマルチ駆動をしているような素人の偽物では全く得られないものが、

ここには厳然と存在する。






ひたすら信じ、何年も何年も諦めなかったTOTOさんは、

とうとう誰も手にできなかったものを手に入れた。



ものすごいことだと心から思う。

そしてそれを成就したTOTOさんを尊敬する。




TOTOさんの下に、この日本の地に集められたRCAは、本当に幸せなんじゃないかと思う。

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by johannes30w | 2014-05-20 01:08 | オーディオと音楽


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