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2007年 04月 05日

一夜明けて

冒頭のホルンから異様な雰囲気に包まれるこの曲。


それまでの交響曲の巨大さから、かなり小さくなったオーケストラ。
それでも古典派などに比べれば、大きなオーケストラには違いないが。


音の響きはいっそう純度を増し、その一つ一つの音の存在は大きくなる。



大伽藍

その柱はあまりにも繊細

   あまりにもか細い


そこに響く声は、空虚にさえ感じられる

   どうしても実体を持ち得ない空虚




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子供の頃、「死」と言うものが、どうしようもなく恐ろしかった。

寂しくて、情けなくて、そして怖くて。

いてもたってもいられなかった。



どうして大人は平気なんだろうと不思議だった。

尋ねると、「そんなものは大人になれば解る」と言われた。


うそだ



大人になったところで、何にも解らない。



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マーラーの音楽は、そのことを正面から意識している。

最初から最後までのたうち続けている。


それを見て、「若いな」「面倒なやつだ」と言える人もいる。

その人は大人なのか?


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大人になって解ったこともある。

大人は自分を騙すことができる。


見たくないものを見ずに、考えたくないものを考えずに、

斜に構えて他人を笑い、自分を騙してる。


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「大地の歌」には名盤が多い。
先日も書いたが、ワルターに始まって、クレンペラー、バーンスタイン、ジュリーニなど、いくらでも挙げられる。

しかしこの曲、その性格のせいか、指揮者に異常な精神状態を与えるように思う。

バーンスタインはもちろん、ジュリーニまで、体裁を気にしないまでののめり込み方をする。

昨日(?)写真で示したバーンスタインの新盤など、ずたずたの演奏だ。
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音楽の奥底に迫ろうとするあまり、すでに音楽が崩壊寸前。
そのエネルギーは、いつこときれてもおかしくないくらい、すでに張り裂けてる。
崩壊寸前なのだが、これが音楽なんだと思う。





ジュリーニの2つの演奏も、興味深い。
旧盤は、ベルリンとやったもの。これはスタジオ録音なのかな?
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これを買ったとき、実はがっかりしたのを覚えている。
しかし、今は違う。
シカゴとやった9番を思い出させる。
強大な精神力をもって、隅々にまでその意識を浸透させてる。
尋常じゃない精神力。そのテンション。
しかも熱い。
だが、テノールのアライサがよくない。

この曲でのテノールは難しい。
クレンペラー盤のヴァンダーリヒは素晴らしいが、立派すぎる。
バーンスタイン新盤でのコロも、一時は理想的だとも思ったが、美しすぎる。
結局、へたくそなパツァークしかいないのかとも思える。

ジュリーニはベルリンと録音したのち、3年後に同じアライサ、ファスベンダーを使ってウィーンフィルで演奏した。
今はそのライブCDが出てる。

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これが同じ指揮者かと思うような演奏をしている。

ベルリンの時の、あのギリギリしたテンションはどこへ行ったのか。



いや、もはやそんな見え透いたものもいらないのかもしれない。

ここにあるのはその音楽にかける愛情のみ。

不思議なことに、ここでのアライサはすばらしい。
別人のようだ。


音が、音楽が重なってゆき、空間にたゆたう。


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このジュリーニの2枚のCDは、もちろん録音もまったく違う。

ベルリンとやったDGの録音は、これはいつものDG録音。
すみずみまで見渡せて、あいまいさなど見せない。
当時の録音評でも結構いい評価だったように思う。
だけど嫌い。
この録音のおかげで、演奏まで嫌いになってしまいそう。


ウィーンとやったオルフェオのライブ録音は、
こいつは心底素晴らしい録音だと思う。
壁際のホルンやハープなど、壁の共振もあってぼんやりしている。
しかし、それがライブ。演奏会では当然のこと。
この空気感はすばらしい。
このCDを聞いて、録音が物足りないと思う人は、装置を考えるべきだと真剣に思う。
演奏会にはツイーターなど付いていない。

この違いは技術の進歩じゃないよね。
その間には3年の時間しか無い。
明らかに録音に対する姿勢の違い。エンジニアのセンスの違い。


いい録音
ありがたい

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こんな演奏が聴けたことを誰に感謝しようか
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by johannes30w | 2007-04-05 02:04 | オーディオと音楽


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