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2011年 10月 29日

失踪 第二日 Ⅳ

市電に一人残された。
配線図、
じゃない、
路線図を必死で見たが、現在地はとうとう見つけられない。

さあどうする?

一応文明国に来ているんだから、このまま飢え死にすることは無いだろう。

市電を降りて、彷徨い歩いてみるか?
これもいいだろう。
知らない町を、のんびり歩くのも面白い。

このまま市電に乗ったままでいようか?
終点まできたということは、このままもとの場所に引き返すに違いない。
これが一番確実で効率的かな?

どちらかに決めるとも無くぼんやり考えていたら、
運転手のおねいちゃんが帰ってきて、颯爽と乗り込んだ。
程なく市電は元の道を戻りだした。

ほう、
今日はこういう展開になるのか。

私は安心して窓の外を眺めていた。
町外れの裏道は、少し埃っぽく、少しよそよそしかった。



とうとうカールスプラッツ駅まで帰ってきた。
何事も無かったように、私は降りた。



私は普通こういうことが起こると、
ものすごく時間をロスしたような気になって、
かなりイライラしたりするのが常なのだが、
何故だか気分はゆったりしていた。

市電の停留所でもう一度行く方向を確認しなおして、
やっぱり一番の路線だよなとかなんとかぶつぶつ言いながら、
市電を待って乗り込んだ。


念のために前とは反対周りの路線を選んだのだが、
今度は上手くリンクに沿って走ってくれた。
見覚えのある国会議事堂や市庁舎の横を通り過ぎ、
市電は目的地のドナウ運河の畔に出た。


降りた。

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左手の公園の向こうに運河が流れている。
その運河に沿って蚤の市が開かれているはずなんだ。

私は先ず、カフェを探した。
もうすでにお昼を越えてたこともあるんだが、
実はトイレに行きたかったんだ。

公衆トイレはあるはずなので少しは探したのだが、
やはり見つからない。
いくら私でも、この年でお漏らししたとなると、かなり落ち込む。
もし公衆トイレがあったとしても、それは有料なはず。
もし管理おばさんがいたらチップも必要。

やはり日本人の私はチップの習慣が無く、その小銭を渡すのに違和感がある。
カフェで余分に置いてくるのは平気なのだが。


すぐによさそうなカフェを発見した。
カフェというか、これはレストランだな。

店に入ると、そこにはオーナーとおぼしきタンクトップのおばさんがいた。
下手をすると年下かもしれないが。

先ず、スパークリングウォーターとウィンナシュニッツェルを頼んだ。

ウィンナシュニッツェルっていうのは子牛の肉を薄くたたき伸ばしてパン粉をまぶして揚げたもので、まあ言ってみれば上品なビフカツだね。
私はこれが好物で、日本でも見つければ食べる。
本当はレモンだけを絞って食べるのだが、
あまり旨くない奴は、塩を添えて食べる。
家の近くにドイツ料理屋があって、そこのウィンナシュニッツェルはなかなかいける。
これが食べられるから、私はウィーンでも結構平気なのかもしれない。

ウィンナシュニッツェルを頼むとおばさんは喜んだ。
なんだかべらべら喋りだした。
例によってさっぱり解らない。
私が理解してると思って喋ってるんだろうか。
これはうちの名物で・・・・なんてことを喋ってるようだ。
いやいや、私は名物よりもトイレに行きたいんだ。


トイレを済ませて一息ついた。
窓の外を眺めると、外のベンチにもどんどん客がくる。
おばさんは大忙し。
そりゃタンクトップじゃないとやってられないかな。

明らかに旅行者ではない地元(?)の妙齢の夫婦を良く見る。
そういう人たちが普通にカフェで寛いでいる。
青臭い日本のぎゅうぎゅう詰めのカフェとは大違いだね。

ミネラルウオーターはガス入りとガス無しがある。
以前はガス入りが普通だった。
20年前はウィーンでガス入りのミネラルばかり飲んでて、日本に帰ってガス無しを呑んだら猛烈に頼りなかった。
今回は、満を持してガス入りを頼んだ。
実はホテルに用意してくれてるミネラルウオーターもガス無しで、ちょっぴりがっかりしてたんだ。

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これ、
ホテルのミネラルウオーターと同じメーカー。
今はこれがはやってるのかな?
しかし、
ガスが弱い。
こんなもんだったっけ?



ウィンナシュニッツエルも来た。

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やはりでかい!
しかも、付け合せ(?)のパンも、籠に山盛り出してくれた。
昼からこんなに食べるのか?
カツとパンって、口の中が脱水起こさないか?


ウィンナシュニッツェルはおばさんが自慢しただけのことはあって、
これは美味しい。
ほんとにレモンだけで食べられる。
しかし、やっぱり、それにパンは厳しいぞよ。



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ふと窓の外の夫婦を見ると、二人とも私と同じものを頼んでる。
しかも当然のように巨大ビールも傍らに。
楽しそうに、普通に食べてる。あたりまえだけど。
みるみるシュニッツェルが減っていくのがわかる。

私は彼らより先に頼んだんだ。
負けていられない。

しゃにむに食べだした。

食べることで汗をかくなんて、いつ以来だ?

再び窓の外を見ると、夫婦は綺麗に完食し、おばさんと笑いながら喋ってる。
私は給食を食べられずに一人取り残された小学生のような気分になった。



それでも何とか完食し、一息ついていたら、おばさんが寄ってきて、
このパンはもう食べないのか?と尋ねてきた。
にっこり笑ってうんうんと頷くと、解ったのかどうか、
おばさんは半分残してしまったパンも下げてくれた。
また近づいてきて、コーヒーは飲まないか?と言って来た。
コーヒー? いえすいえす!
何のコーヒーにするか?と聞かれても解らないのでぽかんとおばさんの顔を見ていると、

・・・・、・・・・、カプチーノ、

「カプチーノ」だけ解ったので、

おお、かぷちーのかぷちーの!

と言うと、
再び、
うちのカプチーノは・・・・・・・・・
とべらべら喋りだした。
私も再び
ほーほー、うんうん


出てきたカプチーノはやっぱり巨大だった。
それを見て、私はもはや写真を撮る気力も失っていた。
カップを口に持っていくと、泡で窒息しそうになったがコーヒーにはまだ届かなかった。

ここは大盛りの店か?




もう一度トイレに行って、
店を出た。





蚤の市は運河沿いに開かれてるはずだ。







運河に降りて、のんびり歩いていく。
横を観光船が通り過ぎる。
画像ではなかなか麗しい風景に見えるだろうが、
実はこの運河、かなりばっちい。
さすがに大阪の汚れた川のように臭くは無いが、
ちょっとがっかり。


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運河の横には多くの人がひなたぼっこに出てきて、散歩を楽しんでいる。
カフェも多く店を出しており、皆それぞれに休日を楽しんでいる。
老夫婦が行き交い、子供連れが歓声を上げる。


私は出ているのであろう蚤の市がどこから始まるのか楽しみにしながら歩いていたのだが、
なかなか出会わない。


セーターは既に暑い。
水着姿で太陽を浴びてる若いカップルもいる。


セーターを脱ぎ、
袖を捲り上げる。


蚤の市はどこだ?




とうとう二駅歩いてしまった。

う~む、
蚤の市はやってないのかな?

仕方ないからそのまま旧市街に入っていった。
大体の位置感覚で、適当に歩いてみよう。


ウイーンの裏道は、どこも静かで少しよそよそしい。
そして埃っぽい。
埃が舞っているわけではないが、
どうも空気がそう思える。
何故そう感じるのか、
考えながら歩いていた。
建物は、やっぱり石造りで道路も石畳。
植物が少ないせいかもしれない。
そういえば、旧市街に入ったとたん、街路樹が無くなる。



西洋の、特に王宮などの庭園を見てよく考える。
西洋においては、自然というものは、征服すべき相手なのじゃないか。
もしくは、敵対する相手なんじゃないか。

巨大なその庭園を前にすると、
私などはそのあまりの人工的自然に驚いてしまう。
ここまで幾何学的に整備しつくさなければいけないのか?
無理やりであろうが、強引であろうが、
そこで作られた庭には、自然の、その自然な伸びやかさは完全に否定されている。
そして自分の、人間の思うがままの姿としてのみ、生かされている。

振り返って日本ではどうか。
坪庭をとってみても、日本人はそこに自然の姿を再現しようとする。
一般的な庭でもそうだ。
あくまでそこで望まれるのは、自然の姿のままの美しさ。
その再現に全てが腐心される。
盆栽などという極めて人工的なものであっても、
そこに自然の縮図を見たがる。
それが人間が考える自然の姿であっても。



旧市街の中を、歩いていく。
シュテファン寺院を目標に歩こうか。
ウイーンで一番有名な建築物だろう。
あの塔なら、街中を歩いてもちらちら見えるだろう。
昼間なら太陽の影を参考に、東西南北を間違えることも無いだろう。

しかし、実際に旧市街に入っていくと、その予想が全く間違っていたことに気がついた。
石造りの建物は、全てが大きく、その前の道は細い。
そしてすべて微妙に湾曲している。
つまり、どこに立ちすくんで周りを見回しても、建物以外は見えない。
影を見ると言っても、道は全て影の中。
あの巨大な塔を見ることは全く不可能だった。


それでも、旧市街へ入っていった方向を頭に入れて、
彷徨ってみよう。

周りの建物の細部を楽しみながら歩く。
何も急ぐことは無い。
目的も、行かなければいけない理由も何も無い。
時間に縛られず、意識に縛られず、
歩く。



ぼちぼちシュテファンの傍まで来てるはずだ。
あの角を曲がれば塔が見えるはずだ。

角を曲がった。

見えない。

まあいいや。





そのまま歩いて行こう。



この角かな?



見えない。




何度か角を曲がったが、
塔の影すらない。




あはは、
本当に迷っちゃった。



再び建物と道を楽しみながら歩いた。


どれくらい歩いたか。


十字路に出たのでふと横を見ると、

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シュテファン

巨大なシュテファン

呼吸が苦しくなるほど、
その姿は圧倒的だ。

by johannes30w | 2011-10-29 00:52 | オーディオと音楽
2011年 10月 07日

失踪 第二日 Ⅲ

とりあえず、空いたおなかを満たそうと、分離派会館を後にした。

どこかで何かを食べようと考えながら歩いた。

ウイーンは、そこかしこにカフェと呼ばれる言わば喫茶店が外に店を出している。

簡単な食事なら、そのカフェで十分だ。



どこのカフェに入ろうかとぼんやり考えながら歩くと、直ぐにカールスプラッツ駅に来てしまった。

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この駅は、今はこの地下に大きな駅として存在するが、

もともとは、オットー・ワーグナー設計のこの駅舎が駅そのものだった。

以前に来たときもそうだったが、この地上部分は今はカフェとして憩いの場となっている。

ただ以前はこんなにきちんとはしておらず、駅舎の前に2~3のテーブルがあっただけだったが。



右手の観葉植物の前に、写真入りでメニューがぶら下げられていた。

結構おいしそうだったので、ここで朝食を取ることとした。


どの人がウエイトレスなのか、ウエイターなのかさっぱりわからないままのんびり座ってメニューを眺めていると、

それらしきおねいちゃんが近づいてきた。




外で見たメニューを指差すが、首を振った。





もうこの時点で私はお手上げなのであって、

次の手はない。


ぶれっど!    なんて言っても全く通じない。。。


ドイツ語でパンって何て言うんだっけ。



さっぱり判らないまま押し問答していると、それでもなんとなくおねいちゃんが言っていることが判ってくる。




要は、

パンのようなものは無い。

ケーキならある。




朝からケーキか。

しかたない。



けーきぷりーず。



どんなケーキがいいのか尋ねてきた。



・・・・ケーキ?   ・・・・ケーキ?    ・・・・ケーキ?



そんなこと言われてもさっぱり判らんぞ!




チョコレートという単語だけ判ったので、


ちょこれーとけーきぷりーず。





出てきた

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フォークがぶち刺さっている。

喧嘩を売られているようにも見えるが、、

こういうものなのか?



朝から非常に濃厚なチョコレートケーキを食べた。

こんなケーキでもかなりおいしく、何の問題も無く完食してしまった。



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もう一度、ムジークフェラインのポスターを確認しようと歩いていった。

ムジークフェラインは、カールスプラッツ駅の直ぐ前なんだ。

すると、


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正面のドアが開いている。

そるおそる入っていく

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中で、男の人が座っていた。

こちらに気が付き寄ってきた。



今夜のフェドセーエフのコンサートのチケットが無いか尋ねてみた。

通じたかどうかは知らん。

丸坊主で非常に背が高いそのハンサムなおにいちゃんは、「無い」と言った(と思う)。

その代わりじゃないだろうが、ムジークフェラインの月刊誌をくれた。



すごすごと引き返した。



ムジークフェラインの前で、その月刊誌をパラパラ見ていると、

今日(25日)と明日、明後日はフェドセーエフ、アバドは29日だと思っていたら、28日もモーツァルトを演奏すると出てる!

すぐさま引き返し、再びムジークフェラインの中へ。

ハンサムなおにいちゃんを捕まえて、月刊誌をばさっと開き、28日を指差して、あばどあばどあばど!

おにいちゃんは困惑の表情を見せて(あたりまえだ)、「セッテンバー?」と言った。

そうだそうだ。9月28日のアバド! チケット!

今日のがあったらそれも欲しい! チケットチケット!


おにいちゃんは、何かいろいろしゃべってきた。

もちろんわからん。

しかし最後に、今日の6時30分に来いと言った(ように思う)。

おーけー。さんきゅー。

私は満面の笑みを未だ困惑顔のおにいちゃんに投げかけて、ムジークフェラインを出た。

出てから気が付いたが、私が指差した28日は、11月の28日だった。

そりゃおにいちゃんも困るわな。





しかし、


素晴らしいじゃないか!

6時30分に来よう!




意気揚々と歩く。



そうだ。

蚤の市ってのがあったな。

あれはちょうど旧市街の反対側だ。

あれを冷やかそう。

もしかしたら、掘り出し物のレコードなんかがあるかもしれない!



ウイーンは、旧市街の周りをリンクと言われる環状道路がはしっており、

そこを市電もぐるっと回っている。

市電による環状線だね。

市電で旧市街の反対側に出よう。

帰りは歩いて旧市街を散策しよう。



滞在24時間も経たずして、私はウイーンっ子の気分だ。



リンクに出て、市電に乗った。

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気が付けば、市電はリンクを外れていた。

ありゃ?

どこまで行ってもリンクに出ない。

どうなってるんだ?

全然判らない停留所をいくつも通り越して、






とうとう止まった。



運転手のおねいちゃんも、こっちをじろっと見て市電から降りちゃった。





私はどこに着いたんだ?

by johannes30w | 2011-10-07 02:27 | オーディオと音楽
2011年 10月 06日

失踪 第二日 Ⅱ

この分離派会館は、セセッション作家の作品を展示するために建てられたもの。

ウイーン世紀末芸術で、最も精力的に活躍した芸術家がこのセセッション作家たちで、

その中心人物がクリムト。

クリムトについてあまり知らない人は、検索してみてね。

きっと知っている作品に出会えると思う。


そのクリムトの大作である「ベートーヴェン フリース」がここにはある。

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作品の解説はしない。

作品は、それぞれが自由に感じるものだから。



この分離派会館には「ベートーヴェン フリース」しか展示していない。

そのほかの部屋は

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こんな感じ。

この部屋全体で作品なのか?とも思うが、それは深読みしすぎだろう。



会館の中でトイレに行った。

少し古風なトイレだが、手入れは行き届いている。

手を洗いながら、めまいにも似た感覚を覚えた。


不思議な空間だった。

なんだか時間がわからなくなるような気がした。

妙な寂しさと心細さと懐かしさを感じた。

幼い頃、シューベルトやシューマンのピアノ曲を聞いた時に感じた猛烈な違和感と親近感。

自分の日本での日常とはあまりにかけ離れた世界と、その世界への懐かしい思い。

それは憧れなどではなく、確かに懐かしさなんだ。

私のこの肉体のみが異物なのであって、周りの全てのものからは異質なもの。

ドアを開ければ、このつまらない肉体は消え去り、自由な精神だけが飛び立てるのではないか?















トイレの中でいつまでも感傷にふけっていてもしかたないので、ドアを開けて出た。

残念ながら、肉体は消え去ることもなく厳然と存在し、おなかが減ってきた。



そういえば、朝食も食べてない。

by johannes30w | 2011-10-06 01:37 | オーディオと音楽
2011年 10月 05日

失踪 第二日

朝から目を覚まして一息ついたら出かけた。

とりあえず、シュターツオーパーを見に行こう。

玄関横に今夜の題目が掲示されているはずだ。


あった

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どっしぇ~!  いきなりドンジョバンニを演るようだ。

しかし、今日は日曜日で、シュターツオーパーのチケット売り場は開いていない。

ま、

どうせ売り切れだろうけど・・・・。



いやいや、

せっかく来たんだから頑張ってみよう。

シュターツオーパーの隣にチケット屋が在ったはずだ。

チケット屋なら日曜日でも開いてるかもしれない。

行ってみた


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う~ん、

やはり閉まっている。

しかし、

ガラス越しによ~く観察してみる

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やはりドンジョバンニのチケットは無いようだ。

しかし、さらに良く見てみると、

ムジークフェラインでフェドセーエフがチャイコフスキーとショスタコービッチを演るようだ!

さらにアバドのモーツァルト!

うう~む、面白くなってきたぞ!!



さっそくムジークフェラインへ向かう

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壁のポスターを確認する

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うひゃひゃ

フェドセーエフ・モスクワ チャイコフスキー交響楽団が二晩続けて演奏会をする!

アバドのモーツァルトもあるぞ!

しかしアバドは29日だね。

この日は帰国予定の日だ。

残念!!


ま、でももしかしたらムジークフェラインでオーケストラコンサートを聴けるかもしれないね。

ムジークフェラインの周りを回ってチケット売り場を確認したが、

やはり閉まっている。




どのみち日曜日はどこも閉まっているようだから、気分を変えて歩こう。



シュターツオーパーやムジークフェライン周辺で、ケルントナー通りの喧騒を避けようとすると、

必然的に南へ下ることとなる。

王宮にももはやあまり興味が無いとなると、その前を通りすごして南西へ向かう。



当然こいつにぶち当たる

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金のキャベツ  分離派会館

セセッションだね。

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そう。

ウイーンに来たのであれば、もう一人のグスタフ、

グスタフ・クリムトに会わなければならない。

by johannes30w | 2011-10-05 00:31 | オーディオと音楽
2011年 10月 02日

失踪 第一日

ヘルシンキからさらに2時間半、

日本を朝に出発して8時間の時差を乗り越えて、

目的地の空港へ到着した時はすでに夕方だった。

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普通ならタクシーを使うのかもしれないが、

チップの用意も面倒なので、電車に乗り込む。

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重い荷物は大変だったが、

さらに地下鉄へ向かう

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カールスプラッツを目指す

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やっと到着した。





地上に上がるとすっかり夜になっていた。

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20年ぶりに、

やってきた。




本当に来てしまった。








通りを一区画歩くと、



シュターツオーパーは20年前と何も変わらず燃え上がっていた



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私は

とうとうやって来た。





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一旦ホテルにチェックインした後、そのまま直ぐに町に出た。

ひとりぽっちにはもう慣れているが、おなかが空くと堪えるからね。


もう覚えているあたりを何を食べようか考えながら歩く。

ウィーンにはいろいろな料理があるはずだが、

いきなりそんなレストランに入るつもりは無かった。

なんといっても私はドイツ語など話せるわけがない。

いやいや、英語もまともにはしゃべれない。

あの忌々しい受験英語のおかげでどんなに苦労してきたことか!

いやいや、苦労して勉強しなかったから、その結果、苦労したんだっけ。。。


う~む、そんなことはどうでもいい!



要は、まともにしゃべれるはずも無いから、安全そうな店を探す。



イタ飯屋に入った。



もちろんイタリア語がしゃべれるからではない。

いた飯屋ならメニューが判るに違いないから安心して入れるんだ。

パスタやピッツァくらいの単語はあるだろう。



うさんくさそうなノッポなウエイターが寄ってきて、

外のベンチがいいか、中が良いか、質問してきた。

いや、

そんなふうなことをしゃべってきたと、私は判断した。

決して彼が言っている事が理解できたわけではない。


少し寒かったから、中を指さした。


うさんくさいウエイターはドアを開けてくれて、

こっちへ入って好きなところへ座れと言った(ように思う)。


入ると、

客は誰もいない。


お!  失敗したか?  ここは不味いのかな?



しかし今さら立ち上がって出て行く勇気は無い。




ウエイターがメニューを持ってきた。

ざっと目を通すが、もちろんさっぱり判らん。

判る単語を探して注文する。


「ビア!」



「ビア?」



おー、もう通じないか?

うさんくさいウエイターは何かごたごたしゃべってる。

さっぱり判らんぞ!


適当に頷いて、再び

「ビア!」

と言うと、

うさんくさいウエイターは、何故だか納得した面持ちでドアの向こうに消えた。




とりあえず通じたと判断しよう。

さあ、今の間にメニューを点検する。

案の定、スープ、パスタ、ピザ、サラダの単語は判った。

後は適当に、ビーフとかマッシュルームとかの単語を探して注文することにした。



ウエイターはビールを持ってきた。

あ!

でかい!

ビールが注がれたそのグラスは、

日本のグラスの太さは1.5倍、高さは確かに2倍はある。

一瞬唖然としたが、いやいや、食べるものを注文しなければ!


先ほどこれにしようと決めたメニューを指さす。

これだよこれ!  判るか?


ウエイターはぼそぼそ復唱してくれるが、

復唱されてももちろん判らない。

そもそも自分がどういうものを注文しているのかも定かではない。

サラダとピザを一つずつ注文した。


いまこうして書いてみると、変な注文だ。

ビールとサラダとピザ

(~_~;)




なんだか良くわからないサラダとピザが出てきた。

それにしてもやっぱり大きい。

ピザは日本の宅配ピザのラージくらいの大きさは有にある。


思い出した。

こっちは食べ物の量が半端じゃないから、注文は半分くらいにすることなんてことを、どこかに書いてあったっけ。。。



う~む。。。




出てきたものは仕方が無い。

食べる。



ピザは半分でもう十分だった。

ビールはピザが出てくるまでに飲んだ2~3口だけで、もうどうしたって入らない。

ピザでいっぱいになったおなかにビールを流し込むことがこんなに辛いものだとは知らなかった。




チェックしてもらい、店を出る。


うさんくさいウエイターはにこりともせずに送り出してくれた。

こっちだってじろりと睨んで無言で出てきた。




うさんくさいなんて言っているが、向こうから見ればこちらだって相当なもんだ。

夜も遅くにわけのわからない東洋人が店に入ってきて、言葉もさっぱり通じず、

変な注文をして、ろくろく食べずに出て行ったんだから。




ホテルに帰って風呂を入れる。

知人が取ってくれたホテルは私にはもったいないようなホテルだった。

湯船もたっぷりしていてヨーロッパのホテルとは思えないほどだった。

風呂の栓など無いことも覚悟していたが、

栓どころか、その湯船はレバーで止水と排水を行うようになっていた。

素晴らしく贅沢な気分で風呂に入った。

ゆったり温まり、湯船の湯を落としながらシャワーを浴びた。

が、

気が付くと、

お湯が減っていない。



ん?



栓は?





レバーを右に倒すと栓が少し上がって隙間ができ、そこから排水するはずなのだが、

確認してみると、栓がほとんど上がっていない。

このままではお湯が溢れてしまう。

一旦シャワーを止めて、栓を少し持ち上げてみる。

お! 引っ張ればちゃんと持ち上がる。

しかし、離すとコトンと落ちて栓をしてしまう。


う~む、、、、


しばらく栓を持っていた。

持っていればお湯は抜ける。

離せば止まる。


私はお湯が抜けるまでハダカで栓を持っていないといけないのか?



せめてもう少し速やかに排水して欲しいなと、栓をグイッと引っ張ったら、

がぼん!  と、栓が引っこ抜けた。




ありゃ~~~




お湯はごぼごぼと抜けてくれた。

私はハダカのまま、栓を持って呆然としていた。







栓をよく見てみると、

どこかに固定されるような構造ではない。

おそるおそる元に戻すと、




問題なく戻った!



あ~、良かった!





気分を良くして、

私は眠りについた。

by johannes30w | 2011-10-02 20:46 | オーディオと音楽