2010年 03月 26日
久しく聴いてなかったかな。 ギトリスとアルゲリッチのベートーベンのヴァイオリンソナタ 一時、本当によく聴いていたが、最近とんと聴いてなかった。 かすれたような、でも何故だか表情豊かな不思議なヴァイオリンはギトリスに違いない。 しかしなんたる自由な音楽だろう 自由で、豊かで、でも破綻しない。 安心してその自由な音楽に身を委ねる アルゲリッチのピアノは、 この人のいつもの演奏を思い出す時、 あの演奏で、室内楽など無理なんじゃないかと思ってしまう。 全て自分のペースに巻き込んじゃうんじゃないかなんて、想像してしまう。 しかし、一見奔放と聴こえる彼女の音楽は、我儘から出たものではなく、 やはり音楽に寄り添ったものであることが彼女の参加した室内楽を聴けばすぐにわかる。 ギトリスのあの自由で豊かな音楽を受け止めて対話まで出来るのは アルゲリッチ以外にはありえないのかもしれない。 最近は、JAZZを聴くようになった。 私にすれば、それは、一人一人の演奏家のの息吹を感じることであり、 演奏家がその発する一つ一つの音への想いを受け止めることでもある。 そういう聴き方が出来るようになってきた今、 このギトリスとアルゲリッチのベートーベンを、さらに大きな悦びをもって聴くことが出来る。 ギトリスの、豊かで実に表情豊かな音楽をこんなふうに感じることができるなんて、 私はJAZZに感謝しなければいけないのかもしれない。 このベートーベンを良く聴いていたころ、 私のシステムは、今とは少し違っていた。 もっとも大きな違いはパワーアンプで、 そのころはJBL62XXシリーズパワーアンプを30Wのエンクロージャーの間に立て、 アンプタワーなどと称していた。 全身全霊をもって取り組んできたシステムであるから、 それぞれの時代の音は全て忘れがたいものではあるが、 あの時代、私のシステムはひとまず完成時期にあり、 その音はやっぱり今でも思い出す。 あのときの音と今の音をあれこれ比べてみることは、もはやナンセンスではあるが、 それでも、鳴り出した時、以前との違いに驚いた。 音色云々のことではもはやそうそう驚かない。 その違いは、音像の立ち方、大きさ、その立体感だった。 今のギトリスとアルゲリッチのコンサートは、 ホール最前列より少し後ろ、前から5~6番目の席だった。 はっきりとヴァイオリンとピアノが立体感を持って存在し、 響いた音がホールの後ろへ美しく漂っていく。 以前はもっと後ろの席で、ホールトーンと共に奥行き深く演奏者が存在していた。 舞台の少し後ろで演奏されていたと表現すれば解ってもらえるだろうか。 このCDは素晴らしい録音で大好きで、 たっぷりした空間に演奏者が存在するような録音だと思っていた。 たっぷりした空間は変わりないのだが、演奏者にぐっと近づいた気がした。 近づいているのだが、化け物のようなヴァイオリンには決してならない。 奏者に近づいたおかげで、見上げるホールの天井はさらに高く感じる。 これは、 ノイマン電源か? 思い出してみれば、 ホーンで、 JBLで、 弦を聴くなんていうことが、 あり得ないというまことしやかな嘘が未だにまかり通っている。 オーディオファンは何をしているのか。 ホーンで、 JBLで、 弦を聴けないなんていう人は、 努力が足りないだけだ。 ホーンこそ、 ドライバーこそ、 弦が聴ける 唯一、弦を聴くことが出来るのが、 ホーンなんだ ・-・-・-・-・-・-・-・ 今まででもそう不満があったわけではないが、 ここまでの表現力を得てとってもご機嫌で、 それならと、とうとうこのCDを聴くことにした バッハ ヴァイオリンソナタ全集 ムローヴァ、ダントーネ このCDは、アルテックでの音がどうしても忘れられない。 あの時も、本システムであるJBLで鳴らしてみたこともあったが、 アルテックほどの納得はとうとう得られなかった。 ヴァイオリン再生に今までにない手ごたえを感じている今、 もう一度挑戦するつもりで聴いた。 私は幸せ者だと思った。 ここまで再生できるなら、今はもう何も言うことはない。 どこもいじらず、ひたすら聴こう。
by johannes30w
| 2010-03-26 01:05
| オーディオと音楽
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