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2011年 10月 07日

失踪 第二日 Ⅲ

とりあえず、空いたおなかを満たそうと、分離派会館を後にした。

どこかで何かを食べようと考えながら歩いた。

ウイーンは、そこかしこにカフェと呼ばれる言わば喫茶店が外に店を出している。

簡単な食事なら、そのカフェで十分だ。



どこのカフェに入ろうかとぼんやり考えながら歩くと、直ぐにカールスプラッツ駅に来てしまった。

失踪 第二日 Ⅲ_e0080678_11968.jpg


この駅は、今はこの地下に大きな駅として存在するが、

もともとは、オットー・ワーグナー設計のこの駅舎が駅そのものだった。

以前に来たときもそうだったが、この地上部分は今はカフェとして憩いの場となっている。

ただ以前はこんなにきちんとはしておらず、駅舎の前に2~3のテーブルがあっただけだったが。



右手の観葉植物の前に、写真入りでメニューがぶら下げられていた。

結構おいしそうだったので、ここで朝食を取ることとした。


どの人がウエイトレスなのか、ウエイターなのかさっぱりわからないままのんびり座ってメニューを眺めていると、

それらしきおねいちゃんが近づいてきた。




外で見たメニューを指差すが、首を振った。





もうこの時点で私はお手上げなのであって、

次の手はない。


ぶれっど!    なんて言っても全く通じない。。。


ドイツ語でパンって何て言うんだっけ。



さっぱり判らないまま押し問答していると、それでもなんとなくおねいちゃんが言っていることが判ってくる。




要は、

パンのようなものは無い。

ケーキならある。




朝からケーキか。

しかたない。



けーきぷりーず。



どんなケーキがいいのか尋ねてきた。



・・・・ケーキ?   ・・・・ケーキ?    ・・・・ケーキ?



そんなこと言われてもさっぱり判らんぞ!




チョコレートという単語だけ判ったので、


ちょこれーとけーきぷりーず。





出てきた

失踪 第二日 Ⅲ_e0080678_135928.jpg


フォークがぶち刺さっている。

喧嘩を売られているようにも見えるが、、

こういうものなのか?



朝から非常に濃厚なチョコレートケーキを食べた。

こんなケーキでもかなりおいしく、何の問題も無く完食してしまった。



失踪 第二日 Ⅲ_e0080678_1404186.jpg






もう一度、ムジークフェラインのポスターを確認しようと歩いていった。

ムジークフェラインは、カールスプラッツ駅の直ぐ前なんだ。

すると、


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正面のドアが開いている。

そるおそる入っていく

失踪 第二日 Ⅲ_e0080678_1442628.jpg


中で、男の人が座っていた。

こちらに気が付き寄ってきた。



今夜のフェドセーエフのコンサートのチケットが無いか尋ねてみた。

通じたかどうかは知らん。

丸坊主で非常に背が高いそのハンサムなおにいちゃんは、「無い」と言った(と思う)。

その代わりじゃないだろうが、ムジークフェラインの月刊誌をくれた。



すごすごと引き返した。



ムジークフェラインの前で、その月刊誌をパラパラ見ていると、

今日(25日)と明日、明後日はフェドセーエフ、アバドは29日だと思っていたら、28日もモーツァルトを演奏すると出てる!

すぐさま引き返し、再びムジークフェラインの中へ。

ハンサムなおにいちゃんを捕まえて、月刊誌をばさっと開き、28日を指差して、あばどあばどあばど!

おにいちゃんは困惑の表情を見せて(あたりまえだ)、「セッテンバー?」と言った。

そうだそうだ。9月28日のアバド! チケット!

今日のがあったらそれも欲しい! チケットチケット!


おにいちゃんは、何かいろいろしゃべってきた。

もちろんわからん。

しかし最後に、今日の6時30分に来いと言った(ように思う)。

おーけー。さんきゅー。

私は満面の笑みを未だ困惑顔のおにいちゃんに投げかけて、ムジークフェラインを出た。

出てから気が付いたが、私が指差した28日は、11月の28日だった。

そりゃおにいちゃんも困るわな。





しかし、


素晴らしいじゃないか!

6時30分に来よう!




意気揚々と歩く。



そうだ。

蚤の市ってのがあったな。

あれはちょうど旧市街の反対側だ。

あれを冷やかそう。

もしかしたら、掘り出し物のレコードなんかがあるかもしれない!



ウイーンは、旧市街の周りをリンクと言われる環状道路がはしっており、

そこを市電もぐるっと回っている。

市電による環状線だね。

市電で旧市街の反対側に出よう。

帰りは歩いて旧市街を散策しよう。



滞在24時間も経たずして、私はウイーンっ子の気分だ。



リンクに出て、市電に乗った。

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気が付けば、市電はリンクを外れていた。

ありゃ?

どこまで行ってもリンクに出ない。

どうなってるんだ?

全然判らない停留所をいくつも通り越して、






とうとう止まった。



運転手のおねいちゃんも、こっちをじろっと見て市電から降りちゃった。





私はどこに着いたんだ?

by johannes30w | 2011-10-07 02:27 | オーディオと音楽


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