2013年 10月 07日
闇討ちとは言わないが、奇襲に近いかもしれない。 前日に連絡して、無理やり時間を作ってもらった。 何年かぶりのbjさん宅 最大のお目当ては、 もちろんこれ! bjさんは、実は私が来るということで、私のテーマ曲(?)である「帝国のマーチ(ダースベイダーのテーマ)」を鳴らすべく、用意して下さっていた。 しかし、そんなお下品な曲を準備されたせいか、bjさんの機器はことごとく体調不良に陥ったようで、 不調、あるいは電源が入らなくなるなどの不具合を起こしてしまった機器は、一つや二つでは済まなかったようだ。 一つや二つの機器がへそを曲げても代わりの機器がいくらでも出てきて、何の問題も無く事が運んでいく様は、凄いとしか言い様が無い。 変なとこに感心しても仕方がないのだが。。。。 メルセデスのリスニングチェアの前には操作すべき機器がきちんとラックにセッティングされている。 人様のお部屋のことではあるが、とうとうここまで来たかとの感が強い。 うん。 ただ、そのラックの威容もさることながら、セッティングされている機器を見ると、 これは普通じゃない。 まあ普通じゃない人(変な人?)であることは、お知り合いになれた時から十分に理解しているのではあるが、 それにしても、 だ。 ラックの天板にはレコードプレーヤーとCDプレーヤーが置かれている。 これは順当か。 ラックに収納されているのは、フォノイコ込みのプリが一台と、巨大なDACが三台と小ぶりなDACが一台、 それに、なぞの基盤が一枚。 以上。 なんでDACが四台もセッティングされてるんだ? 後で確認したら、このラック自体も、その収納すべき機器のサイズに合わせて作ったらしい。 確信犯じゃないか。。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・ とにかく、聞かせてもらう。 それまでも、エージング風に音は出てはいたが。 テーマが鳴り響く! おお~! ニヤニヤしているわれわれ二人を尻目に、bjさんの巨大なモニターは実に機嫌が悪い。 もうほとんど嫌々鳴っているという風にしか聞こえない。 ご主人様を前に、なんたる頑固なスピーカーだろう。。 しばらく聞いていると、それでも少しは落ち着いてきたようだったが。 こういう場合、訪れた者と招いた者との間には、非常に微妙な空気が流れる。 全ては音が物語っており、それは両人がすでに理解しており、いまさらの言葉はぎこちない。 私の最も気になるのは目の前に置かれたレコードプレーヤーの上に、無造作にばらされたアーム。 bjさんは、慣れた手つきで組み上げる どう? これ! いきなり魅力的でしょ? これ、既製品じゃないよ。 bjさんが、ご自身で考えた構造であり、部品たち。 リニアトラッキングアームは、その機構は私も昔から好きではあるのだが、 いかんせん製品となっている物のその動作原理に納得できるものが無かった。 どれもこれも、不自然に思えた。 そんな(私にとっては)不自然な動作原理を持つ市販品でも、 リニアトラッキングアームにより再生された音に取りつかれた人もおり、 そこは食わず嫌いではいけないと思いながらも、 やっぱり納得できない私ではあった。 数年前、友人のODさんがリニアトラッキングアームを自作し、 驚くべきことに完成させた。 まさか実用に耐えうるものが出来るとは思っていなかった(すみません)だけに、 非常に驚き、見に行った。 ODさんが考えた構造は、ベアリングを使ったもので、まさに単純明快。 実はこの単純明快さというのが一番難しいことなのだが、故に興味深かった。 単純明快ゆえに、その工作精度には相当なものが要求されており、 確かにODさんの作り上げたアームは何の問題もなく理想的な動作を現実のものとしていたが、 彼の教えてくれた精度の追及は、私のやる気を根本から吹き飛ばしてしまった。 こりゃどこのメーカーもやらないはずだ。 肝心の音であるが、これは残念ながら良くわからなかった。 彼のシステムは、広く知れ渡っているとおり巨大なもので、 正直に言えば、アームの利点も欠点も良くわからなかった。 その後、bjさんがリニアトラッキングアームにチャレンジされるのを知って驚いた。 bjさんと言えば、古今の名機たちを恐らく誰よりも聞いてきた人で、 さらに最先端の機器にも明るいはず。 その彼が、リニアトラッキングアーム自作に挑戦するというのだから。 bjさんの構想は、着実に実行されていて、完全実用まであと一つのポイントをクリアするのみという状態まで仕上がっていた。 凄いね~ こんなものは、単なるオーディオの知識だけでは完成できない。 ありとあらゆる雑学(?)、しかも、血と肉になったものを持っていない限り不可能なことだ。 それにしてもかっちょいい! 音が出た! う~ん、 これは凄いぞ。 こんなに素直な伸びやかさは、今まで聞いたことが無い。 さっきまでCDを聞いていたはずなのに、 CDよりも圧倒的に安定している。 こんな音は聞いたことが無い。 聞けば聞くほど興奮してきた。 これは、レコード再生の根本的解決だ。 今までのトーンアームによるレコード再生は、簡易再生というべきなのかもしれない。 う~む、 CDの安定度もはるかに超えた安定した低域の伸び。 凄いな。 これを再生できるスピーカーも凄いが、 それにしても、この安定度は今まで経験しなかったもの。 このアームの機構、構造が、全く正しいものであることが、音からはっきり証明されている! bjさんは、凄いものを作ったんだ。 最近、オーディオで驚くことが多く、 それは嬉しい限りなのだが、 いや、 このアーム、 自分もモノにしたい。 いやいや、 この音を聞いて、やらなければオーディオファンとは言えない! これは音云々の話ではなく、 はっきりと性能ということなんだろうね。 音が良いとか悪いとかではなく、 全く違うものと言ってもいい。 凄いものを聞いた。 興奮の中、 気を静めるためではないが、 もう一度CDを聞かせてもらうようお願いした。 ピックアップではなく、CD自体が回転しながら移動するメカニズムは、 ソニーだけがその黎明期から拘ってきたもので、 他社の追従は無かった。 一方の雄はもちろんフィリップスで、そのメカは未だに誰もが追いかけている。 私もフィリップスのスイングアームを使ってきているが、 使っている者として、このソニーのメカはやはり気になる。 メカが好きなオーディオマニアなら、薀蓄を垂れるのに格好のブツでもある。 私も何度か聞いているはずなのだが、どうも印象が無い。 印象が薄いというのが良いことなのか悪いことなのかはわからないが、 先ずはそれを確認したかった。 bjさんはソニーメカの集大成たるトランスポートをお持ちだからだ。 このトランスポートを用い、 接続されたDAコンバータは、原器ともいえるPCM-1630!! こんなものが一般の家にあることがおかしいのだが、 bjさんは「一般」とは言えないのでまあいいか。 しかし、 デザインもへったくれも無いデザインだが、 何故にこんなにかっちょいいのか! 音は、 これは正直に言えば、良くわからなかった。 だって、最初からこれで聞かせてもらってたんだもの。 もちろん、なんとかしろよ!なんていうことは感じなかった。 原器とはそういうものなのかもしれない。 聞き比べが始まる。 こちらはきちんと(?)デザインされたkinoshitaのDAC このデザイン、好き嫌いははっきりするだろうが、私は嫌いではなく、 いや、結構好きかもしれない。 ボリュームにも触らせてもらったが、過不足なく実にいい感触だ。 感触と言えば、この機器は、どう見たって日本人がデザインしたとは思えないのが面白い。 ボリュームの色、質感、全体がもたらすマッシブな感覚など、 これはやっぱり肉食系の人種のデザインに違いないと感じてしまう。 欧州やアメリカの、日常生活に近いところで肌を触れて使われる機械の感触を思い出す。 どう見たってオーディオ機器の見え透いたひ弱なデザインではない。 音もデザインの通りだった。 ソニーからつなぎかえると、いきなり音に血が通いだす。 こう書くと、いかにもPCM-1630が冷たいように思われるかもしれないが、 さすがにここら辺のクラスになると、どちらが良いとかいう判断は無意味だね。 なるほどbjさんが4台のDACを実働状態でラックに並べている意味が判ってきた。 最後にこれ DCアンプという呼び方は知っているが、こいつはどう呼べばいいのか? こいつだけ、全く違う鳴り方をした。 いきなり空間が現れたような気がした。 実に魅力的だ。 こいつが自作モノだとは信じがたい! もし、bjさんの目を盗んで何かをかっぱらって帰るなら、 こいつを選ぶかもしれない。 と、 いろいろ聞かせてもらったが、 実は頭の中はさっき聞かせてもらったリニアトラッキングアームのことでいっぱいだった。 あれはモノにしたい! 私ならどうするのか。。。 おまけではないが、 こんなものも聞かせてもらった これはSDカードの再生機。 最近目につくメディアプレーヤーというやつだね。 CDをリッピングし、WAVファイルとしてSDカードに落としたものを再生するもの。 私は最近リッピングしたものを聞いてばかりいるのだが、 何故だか同類の音がした。 不思議なものだ。 内容を教えてもらって、実に興味深く思った。 で、 私はこの基盤をかっぱらって帰ることにした! 実は興味を示す私を不憫に思ってか、 bjさんが手持ちのもう一枚の基板と私が持っている機器との物々交換を申し出てくれたんだ。 私にとってはなんともありがたい話だ。 bjさんと言えば、これを聞かせてもらわずには帰れない。 ナグラ! bjさんのナグラは完ぺきな動作を見せる。 何度見せてもらっても惚れ惚れする。 最後の最高のプロ機だな。 例のビートルズのテープを聞かせてもらった。 bjさんも仰っていたが、あまりの音の良さに驚いた。 ビートルズって、本当はこんなに良い音で録音されてたんだ! ビートルズはもちろんいろいろなところで聞かせてもらっている。 ビートルズって、酷い録音をしてたんだなっていつも思ってた。 全然違うじゃないか。 ビートルズを聞いた99%の人は、 この本当の音を知らないんだよな。。 そう考えると、なんだか微妙な気持ちになってくる。 bjさんがこの部屋を作り、この巨大なモニターを迎え入れて数年が経つらしい。 部屋とモニターは、はっきりと、どんどん馴染んできている。 bjさんは、何も強引なことはしない人ではあるが、 やはり全てがbjさんの色に染まってきている。 時間が経つのが待ち遠しい。 何年も先の、この部屋の音を早く聞いてみたい
by johannes30w
| 2013-10-07 01:11
| オーディオと音楽
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