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2014年 05月 04日

浮気よりたちが悪く 3

「つまらない音」なんて書いたが、

これがオーディオ的に見ると実に見事なんだ。

癖も無く、過不足無く、

表現する空間は広大で、フォーカスだって見事なものだ。

もし私が何かの間違いでレコーディングなどするのなら、

今まで知ったシステムを差し置いて、モニタースピーカーとしてこいつを選択するだろう。




「つまらない音」で終わるのは流石にかわいそうなので、いろいろ考えてみる。




当てがったアンプはこれ

浮気よりたちが悪く 3_e0080678_1264678.jpg


これはNuForceというメーカーのデジタルアンプ。

SPDIFデジタル信号を直接入力し、増幅して出力する。

アナログ入力のデジタルアンプと違って、所謂フルデジタルアンプというものだね。

パワーDACと言ってもいいのかな。



デジタルアンプが登場した時、

その駆動力が素晴らしいともてはやされた時代があった。

曰く、「こんなに小さいのにウーハーをきちんと駆動する」とか、

「もう巨大なアナログアンプは必要ない」とか。。。。


私も過去に、数は少ないが、数種のデジタルアンプを聞いてきた。

が、

駆動力が素晴らしいなどとは一度も感じたことが無い。

まともなアンプを使ったことのない人なら、「同じ値段でこの性能なら」という意味で、

その駆動力に驚くのかもしれないが、

駆動力のバケモノみたいなアンプばかりを使ってきた者としては、

デジタルアンプの「駆動力」は、まあそれなりでしかない。

そんなことより、

全体としてのアンプの質が問題になるものがあまりにも多く、

「駆動力」云々の前に使う気になれなかった。



デジタル直結という意味において注目してしまう人もいるだろう。

かくいう私だってそうだった。

つまり、

AD/DA変換を経ないことに大きな存在意義を見出す人。

我々オーディオファンが、最も身近に知っている「変換」というものがAD/DA変換であるから、

その「変換」などという言葉づらに惑わされて毛嫌いする。

「変換」=「劣化」という強いイメージ。

だから「変換」を行わないデジタル直結は理想に思えたりする。

私もそう思っていた。



しかし、少し深く知ってくると、それが幻想でしかないことを思い知らされる。



デジタル信号と言っても様々な伝送方法がある。

SPDIFやAES/EBUなんていうのもその単なる一種類でしかない。

デジタル信号というのはもともとはI2sという形のもので、

それを「変換」してSPDIFやAES/EBUにしている。

つまり、デジタル伝送なんて言ったって、「変換」は数多くなされているんだ。



もっと広く考えてみてもいい。

たとえばレコードの再生時に使う「カートリッジ」。

あれだって、凄い「変換」機には違いないし、スピーカーだって正に「変換」機だ。



「変換」をいくら嫌ったって、オーディオ機器のほとんどは「変換」機と言えるもので、

自分が目につく部分だけ変に毛嫌いしたって意味が無い。







話をデジタルアンプに戻すと、



このNuForceのデジタルアンプであっても、

さほど劇的な駆動力を感じるわけではない。

しかしだ、確かにアナログアンプとは全く違う鳴り方をする。

これはどういうわけだといろいろ考えていたが、

どうも、デジタルアンプというのはスピーカーのインピーダンス変化に強いような気がする。

私のことだから、単に聞いて判断しているだけで、原理的な、あるいは回路的な根拠があるわけではない。

しかし、

どうもそんなふうに聞こえる。

変な言い方だが、どこまで行っても普通に鳴るんだ。

くどいが、駆動力が上がるのではなく、面倒なスピーカーでも普通に鳴る。





ま、

それにしても、

もともとのアンプの音がしょぼければ、そういうことも何の意味も無いのではあるが、

このNuForceのアンプは、私は相当気に入っている。

魅力あふれるというわけではないが、実にナチュラルなんだ。

しかし、これもなんだか不思議なことに、このアンプは不思議な寝起きの悪さを持っている。

それこそアナログアンプの寝起きの悪さとは全く違う話なのだが、

こいつの場合、つながれたスピーカーに対して猛烈に人見知りをする。

つまり、

繋いで直ぐは打ち解けない。

数時間では無理。

温まれば良くなるというわけでもなく、

アンプが、そのつながれたスピーカーの御し方を慣れる時間が必要なように思う。

ざっと、3~4日鳴らしていると、どうも解ってくるようだ。

そしてその後は、電源をポンと入れたらほぼその瞬間から全力投球してくれる。



繰り返し言うが、

そんな特徴がデジタルアンプ全体にあるのか、このNuForce独特のものなのかは知らないよ。




とにかく私はこのアンプが気に入ったので、これを6台そろえてマンハッタンに組み込もうと真剣に考えていた。

その方が、圧倒的に安く構成出来るのだが、物事は良く解らない方向へ進むものだ。







なんだか話が違う方向へ進んじゃったが、

そんなデジタルアンプをKEFカンタータにあてがった。



スチューダーA730 → NuForceDDA-100 → KEF カンタータ



単純にして、明快なシステム








(続かざるを得ないな)

by johannes30w | 2014-05-04 02:14 | オーディオと音楽


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