2006年 02月 07日
突然だが、クロス周波数について、いろいろ考えてみる。 スピーカーとしての一番単純な形としてあるのはフルレンジスピーカー。 こいつはもちろんクロス周波数など持っていない最もシンプルなかたち。鮒に始まり鮒に終わるの例えのとおり、フルレンジ一発で勝負でもいい。また、フルレンジでしか得られないものもあるように思う。だが、、、、それで収まらない人がたくさんいることも事実で、もうすこし豊かな低音が欲しいだの、もっとハイが伸びた音が聞きたいだのわがままを言う。こうなると、フルレンジではもはや物理的に限界があるということで、2ウエイだの3ウエイだの言い出すこととなる。スピーカーを構築する時、この2ウエイと3ウエイとでは、その成り立ちに根本的な違いがあるように思う。世の中にはいろんな形態のスピーカーシステムがあるから、一概には言えないが、ここでは単純に考えてみる。 1) 2ウエイスピーカーの場合、小さなものでは「フルレンジ+スーパーツイーター」という形もあるが、大きな音量がほしいということで、スピーカーを大きくしたいとなればどうなるか。「大きなウーハー+ツイーター」ということになる。この場合、クロスはおそらく500~1500あたりになるだろうか。こうなると、仕方が無いにせよ、大事な真ん中(?)のあたりにクロスを持ってこざるを得ない。 2) 3ウエイスピーカーの場合、この場合は話は明快で、いわばフルレンジに上と下を足した形。つまり、「ウーハー+フルレンジ(スコーカー)+ツイーター」と言う形がベースになる。したがって、3ウエイの場合、大事な真ん中にクロスがくることはない。 現実は、1)ベースの3ウエイがあったりするのでややこしいが、それでもマルチウエイのスピーカーはすべて1)か2)の形をベースにしていると分類できる。いや、こう分類して、その上で自分のシステムを考えると、そのあり方が理解しやすい。現実のスピーカーは、細かい工夫がなされているからわかりにくいが、JBLで言うと、2ウエイの4320はさておき、3ウエイの4333は3ウエイではあるが、成り立ちは1)の2ウエイにスーパーツイーターを足したものと考えられるし、4341・4343・4344・4350などの4ウエイは2)の3ウエイにスーパーツイーターを足したものだと言える(あのミッドバスがフルレンジにあたる)。 こういうことは、メーカーのシステムを分類するためじゃなく、本当は自分のシステムを構築する時に一番役に立つ。スタート時にフルレンジでスタートするか、いきなり2ウエイでスタートするか、これは非常に大きな違いとなってくるように思う。 さて自分を振り返ってみると、、、、 4355時代はさておき、私の現システムのスタートは、4520システムだった。38センチの2220ウーハーに2440ドライバー、2402Hツイーターというシステム。これも一見3ウエイに見えるが、実は2ウエイの発展型。2220と2440の2ウエイに2402Hを足した形と分類できる。4355からこのシステムに変わった時、それぞれのユニットが広い帯域をカバーする伸びやかな感じが印象的だったのだが、どうしても納得できないことがあった。女性ボーカル。こいつがどうしても納得できない。男性ボーカルは、そんなもん聞かないからどうでもいい。大事な女性ボーカルがだめ。この時の2220と2440のクロスは500Hz。ごく当たり前なクロス周波数。当たり前で、それでよいといえばよいのだが、自分には許しがたいものがあった。声の高い響きと低い響きがぜんぜん違う。当たり前だ。高いほうは2440、低いほうは2220から出てる。このウーハーから出る女性ボーカルの低い響きがどうしても好きになれなかった。クロスをもっと落としたいが、そうすると2440+2350からの音が弱くなり、カスカスの響きとなる。もうあきらめて、いっそクロスを1000近くまで上げたほうが、音色の統一がとれていいとさえ思った。これを解決しようと2482+2360なるミッドバスをひねくりだす事になったんだ。私の場合、クロス付近での不具合より、クロスの前後で発音体が変わってしまう事への違和感が大きかった。今はミッド部とウーハー部のクロスは300Hzとなっており、自分としては、そういう意味では女性ボーカルにはまずまず納得できている。 聞く音、楽器、等の周波数と言うのは意外とスピーカーの成り立ちを左右する。 私が2482+2360と言うミッドロー(と呼んでいる)部分を入れたことで、スピーカーシステムとしては3ウエイから4ウエイになったわけだ。単純な進化と思われるかもしれないが、そうじゃない。以前の3ウエイは、前述の1)の2ウエイの発展型。ミッドローを入れての4ウエイは2)の3ウエイの発展型となる。1)から2)への変化はいわば宗旨替えとも言うべき変化。自分でも今までミッドローと呼んでいる2482+2360は、心の中ではフルレンジ。あとはこの上と下を足しているに過ぎないと言う構成になっている。 先日、やまかさ氏と電話で話す機会があった。話しているうちに、非常に興味深い話を伺った。楽器や声の基音は5000Hz以下であるという。だからここまで、下はできるだけ下までひとつのユニットで再生したいと。ドライバーを使うと言えども上まで伸ばして使うと下が不安定になるので5000Hzでいったん切りたい等々。なるほどとうなずかさせられる考え。彼は2450+2365がお気に入りで、5000Hzまではこいつに受け持たせるらしい。彼の心のフルレンジは2450なのかもしれない。それ以上の「倍音」は、あの1インチドライバーを含むツイーターセクションが受け持つらしい。どうもいちいち納得させられる。話のついでに資料を送ってもらうことになった。 これを眺めてると、いちいち面白い。楽器が発生する音っていうのは、自分が持っているイメージよりかなり低いことがわかる。これを眺めながら、30wのクロスをどうするか、考え中。いや~、面白い。
by johannes30w
| 2006-02-07 01:04
| オーディオと音楽
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