2006年 05月 28日
だいぶ前にも報告したが、今日はコンサートに行ってきた。 フェドーセーエフで、モスクワ放送交響楽団 このコンサートのお目当ては、ショスタコービッチの10番。 これも前に書いたが、フェドセーエフに対してはほとんど興味が無く、コンサートでショスタコービッチの10番なんかをやろうとするフェドセーエフの選択とそれを許した招聘元に敬意を表したかったのが、このコンサートに行こうと思ったその理由だった。 一曲目はチャイコフスキーの序曲1812年。 このフェドセーエフという指揮者は、概してこういうものが得意だと思われてるふしがある。日本でのレコードデビューの際に、ロシア音楽のこういうショーピース的な音楽のレコードばかりが取り上げられていたように思う。 かく言う私だって彼のチャイコフスキーの1812年や5番をいそいそ買ってみたもんだ。 その演奏は、たいして感心はしなかったし、ショーピースが得意とも思えなかった。 だから今回だってまったく期待もしていなかった。 当たり前に演奏が進んでいく。 悲しいくらいに正直だ。最近流行のケレン味など、みじんも感じさせない。 不器用とさえ言える位に実直だ。 う~ん、、 11月にケレン味のかたまりみたいなテミルカーノフが来るから、いい対比になりそうだ。 オーケストラはすばらしいエネルギーを持っている。猛烈なエネルギー。ロシアのオーケストラと聞いてイメージされる荒々しいエネルギーを未だに持っているオーケストラだね。ま、このエネルギーはロジェストヴェンスキーの時代から有名だったけど。 このエネルギーを聴くと、日本から乗り込んでいった録音技師達がショーピース的な音楽ばかり録りたがったのも解る。 クライマックスの鐘が凄い。打ち鳴らすなんてもんじゃなかった。叩いて叩いて叩きぬいて、、、オーケストラの強奏が聞こえなくなるほど! 「ブラボ~!」の声。 ま、そうなるんだろうね。 続いて弦楽セレナーデ 荒い・・・・・ 絶望的に荒い (>_<) まったく美しくない。 わざとこうしてんのか? 第二ヴァイオリンなんかバラバラだぜ。 練習したのかな~。 日本公演最終日で疲れ果ててんのか? 良く言えば、父親の荒っぽい愛情みたいなものも感じる。 いや~、やっぱり良く言いすぎだな~ ピチカートが舞台を足踏みしてるみたいに聞こえる。 ただ、3楽章の終わりから4楽章に引き継がれる前後で交響曲的な響きを作り出していた。これがこの指揮者のこの曲への解釈なんだろうね。 それにしても・・・・・・ わくわくしない中休み。 ああ~ ショスタコービッチだ。 気が重くなってきた。 チューニングが始まる。 曲。 ん、、、オーケストラの響きが変わった! 張り詰めてる。 オーケストラ一人一人が作り出す集中力がギュッと一つになった。 音楽が流れ出した。 演奏の解説などもういらない! スターリンとその社会構造に抑鬱された精神が叫んでいる。 ピエロにならざるを得ないなら、なりきってやるという自虐的精神と、その隙間からどうしても溢れ出してしまう本当の自分が悲しい。 永遠に続くと思わざるを得ない圧力と、それに反抗しても意味が無いと解っていながら、でも時にパニックのようにのたうってしまう自分。 あまりにも生々しいショスタコービッチの音楽だった。 実体験としての音楽があった。 素晴らしいなんていう言葉がウソに思える。 カラヤンの凄いと思えた演奏が安っぽいウソに思える。 恐ろしい音楽だった。 恐ろしい演奏だった。 私のコンサート経験の中でも忘れられないものとなった。 こんな音楽が自分の部屋で鳴ってしまったら、 私は耐えられるのだろうか、、、、
by johannes30w
| 2006-05-28 22:25
| オーディオと音楽
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