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2006年 06月 27日

プロコフィエフ <ロメオとジュリエット>

 プロコフィエフの<ロメオとジュリエット>ばかり聞いている。
いろんな録音を聞いていた。こういう「聞き比べ」などというのは、「マジ」な曲ではできない。自分が大切に、大切に思っている曲で聞き比べなどやりたくな い。プロコフィエフのこの曲が、大切な曲じゃないと言うわけではないが、少なくとも同じ曲を、あまり意識せずに何度も聞ける。

今、手持ちのこの曲の録音は4種ほど。
それぞれに面白い。
CDでは3種。この3枚を聞いて、いろいろ考えてしまう。

一枚は、前にも紹介したテミルカーノフとサンクトペテルブルグの演奏
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テミルカーノフは、「けれんみあふれる・・・」などと、半分批判的な書き方をしてきたが、逆に言えば、ポイントを抑えた演奏だとも言えるのかも。予想以上に素晴らしい演奏だとは言わないが、この曲への自分のイメージを裏切ることは無い。
 RCAの録音は、レコード時代はなんだかギラギラしていて、パッときくといいように思うのだが聞き進めると飽きてくるというようなイメージがあった。し かし、CD時代になって、そんな癖(?)も少なくなり、かなり聞かせる。CD時代になって、私がよくなったな~と思うのは、デッカの録音。レコード時代は どうしてもその録音が好きになれなかった。どこかすっきりせず、コンプレッサーをかけたような、作為的な録音にどうしても聞こえた。デッカのカートリッジ を使えばその癖は美点へと見事に変化するのだが、今度はEMI録音がうまく鳴らなくなる。
 話がそれた。

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これは、スクロヴァチェフスキーとケルン放送響の録音。
 演奏が始まったとたん、、、、、重い。
細部までしっかり演奏されていて、ニュアンスも豊かに表現されているのはわかる。いい演奏だな~とも思うんだけど、いかんせん重い。暗い。ま、悲劇なんだ から、暗くてもよさそうなものだが、いや、そういう意味じゃなく、演奏が暗いんじゃなく、オーケストラが暗い。逆に言えば、ドイツのいいオーケストラだと いうことになる。この暗さだって、シェークスピアの原作を考えれば妥当とも言えるのかもしれないが、この暗さ、重さは英国の暗さとはちょっと違う。
 これは、DENONのPCM録音。PCM録音は、PCMの音がすると、誰かに聞いた。そうなのか~と、感心はしたが、私はよくわからん。よくわからん が、このPCM録音のレコードは、昔から嫌いじゃない。素直にいい録音だな~と思ってきた。当たり外れの少ない、いいシリーズだと思うな。
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オーケストラモノとしても、かなりいけるんじゃない? すこしオンマイクぎみではあるけれど、メジャーレーベルに無い、録音としての素直さがあるように思う。(と感じる)

 録音は、当然単純なものではなく、そこにエンジニアがいるかぎり、やはりそのエンジニアの曲への解釈というものがどうしても介入する。カラヤンのグラモ フォンへの一連の録音はその最たるものと言うべきで、恐らくカラヤン自身がかなり介入したと思われるその録音は、カラヤンの曲への解釈丸出しの録音になっ ている。曲の最中に、これを聞かせたいとおぼしき主題がズームアップのごとく聞こえてくる。こういう録音を、いいと言うか、悪いと言うかはいろいろな考え があるのだろうが、では何の操作もしないワンポイント録音が最高か?と聞かれれば、それはそれで寂しかったりする。要はこんなところでもセンスの問題にな るわけで、いかに録音エンジニアが難しい立場にあるのかを改めて思い出される。


さらにもう一枚は、テラーク盤
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こんな指揮者、まったく知らない。オケはいつものクリーグランド。
 おお、ダイナミック! 速い! コントラスト強調!
ちょっと、あまりにもアメリカン過ぎないかい?

アメリカンが嫌いなわけじゃなく(嫌いだったらJBLなんか使えないかもしれない)、あまりにも勢いにまかせた演奏に聞こえる。オーケストラと、自分のテクニックに酔ってるような、、、、。この指揮者、若いと言える。溌剌としてて、自分をストレートに表現してると言える。ただ、その曲への解釈がどうこう言う以前に、ここで聴いているほかの指揮者に比べ、はっきりとその「格」の違いのようなものを感じてしまう。「格」なんていう言葉はあまり好きではないが、続けて聞いたりしてしまうと、好むと好まざるとにかかわらず、その違いを嫌というほど思い知らされることもある。



テラークは、もちろんその優秀な録音でも知られている。解説書には必ずその録音の使用機器が示されている
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テラークが、オーディオテクニカのケーブルを使っていることは、有名だが、その他にも日本製の機器の名前も挙がっている。日本好きの私としては、ちょっぴり誇らしい気にもなる。「現場」におけるこういう機器の紹介は、私などにとってみれば、面白くてしょうがない。古いレコードなどで、スチューダーA80や、ノイマンSX68などの型番をジャケットのどこかに見つけると、わけもなくワクワクしたもんだ。

 テラークの録音というのは、奇をてらったものではない。意外だと思われる人もいるかもしれないが、これみよがしなところは無い。取り上げる曲が、「これみよがし」なところがあるような曲が多いので、誤解を受けているかもしれないな。「奇をてらった」といえば、ドイツグラモフォンやデッカのほうが、よっぽどそんな録音がある。レコード時代は、他とは一線を画するその圧倒的なクオリティに驚かされたが、現在になってみると、もうテラークしか買いたくないなんていう気持ちは少なくなりつつある。テラークのクオリティが下がったというのではなく、一般のレーベルが、かなり良くなってきている。現に、上の3枚のCDであれば、録音に関しては、私ならもはやどれでも十分だな~と思えちゃう。ただ、やはり前述した「奇をてらった」所のない、いわば「自然」な雰囲気は際立っていて、地を這うグランカッサも、炸裂する金管も、これみよがしなところが無い。期待している人にはかえって物足りなく思われるかもしれないが、いや~、やっぱりいい録音だね。マゼールの指揮ならもう少しはなんとかなったのに~と、ちょっとうらめしい。





三種を立て続けに聞いてきて、指揮者、オーケストラのお国柄が思いのほかに感じられて面白かったが、録音はともかく、じゃあお前はどれを取るのかと聞かれると、少し考えたうえで、なんと、テミルカーノフ盤を取る。このCDは第二組曲しか入っていないのがうらめしいが、「三つのオレンジの恋」も入ってるから、許しちゃおう。何故テミルカーノフ盤を取るのか。演奏云々より、ロシアの響きが感じられたからかもしれないね。





番外として、さらにもう一度、ミトロプーロスのレコードを聴いた。1957年のステレオ録音。
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悲惨だろうと思われるかもしれないが、これが意外といける。ダイナミックレンジはさすがに狭いが、こんなもんだよと言われれば、十分聞いていられる。音色や、音像の立ち方は思いのほか素直でいいよ。演奏は、いわずもがな。曲に対して真っ直ぐで、気負いやてらいもなく、味わい深い。





しかし、この情けないジャケットは、どうしてもいただけない。
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どんなに苦労して写真にしてみても、どうしようもない。



やっぱりいいな~・・・・・と聞いていくうちに、


気にならなかったはずなのに、これが現代の録音だったらな~と、もったいなく思えてきた。









などと、あーでもないこーでもないといろいろ聞いているっていうのは結局決定盤が無いということで、本当に気に入ったのなら、オーケストラの国籍も、録音状態だってほとんど気にならなくなって、これだ!って、即、決まっちゃうんだよね。



とか考えてたら、もう一枚あるのを思い出した。

ロストロポービッチ指揮のワシントン・ナショナル
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これ、一番嫌いなタイプのグラモフォン録音。

意図丸出し。丸見え。故にお下品。



演奏は、、、、、ロストロおじさん、ちょっとやりすぎ。気持ちはわかるんだけどね~。

確かにこの曲は悲劇の曲だけど、これじゃあ悲しみのあまりに天が降ってきそうだよ。

by johannes30w | 2006-06-27 20:04


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