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2009年 04月 04日

ある週末  不時着編

ある週末  不時着編_e0080678_124726.jpg


ODさんのリムジンはさすがに快適で、ポカポカした陽気と仕事の疲れでほとんど居眠りしそうだった。

場所は解らないが、見知った道をスルスルと滑っていく。

ODさんは、長い長い車体をゆるゆると扱い、到着。


「春野菜ラーメン」というものを食べる。

そう言えば、最初に訪問させてもらった時、「春野菜ラーメン」というものがあって、

これが結構旨いという話をうかがっていたっけ。。






OD邸に戻り、さあどうしようか。




うちにあったアルテックが、ここに居るはずなんだ。

写真では見たものの、

見るのが恐いような気がした。





部屋に入ると、





居た

ある週末  不時着編_e0080678_115243.jpg






お前、本当に、お前なのか?









すっかり変わっちまったな










やっぱり、

いざ前に立つと、

なかなか言葉が出なくって、


笑い顔も、

引きつっているのが自分で判る。






聞きたいような、

聞きたくないような、、、、







     ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・





部屋に入って何か喋っていたように思うが、なんだかうわの空ではっきり覚えていない。

(ODさんすいません)

呆然としていた。




気を取り直してエンクロージャーに触れてみる。

もう、感触さえ違ってしまったように思えた。

寂しく思った







しかしこれは、このスピーカーにとって、非常に幸せなことなんだと思う。

新しい持ち主が、一生懸命考えて、そのスピーカーを染めていく。

先ずは自分の気に入るように、衣装をあてがった。

もうどこへも行く事は無いついの居場所がここなんだ。

持ち主は、本気で自分のものにしようとこの衣装を考えたに違いないんだ。

幸せなスピーカーなんだと思う。




私に何が言えようか





      ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・






ODさんは、いろいろ聞かせてくれた。

古い古いワルターのブラームス





うわのそらだった





なんだか落ち着かない



集中して聴こうと思うのだが、どうしても聴けなかった。





恐る恐る自分の持ってきたCDを出した。


やっぱりムローヴァのバッハ


ある週末  不時着編_e0080678_1031143.jpg









私は自分のアルテックで毎晩毎晩これを聴いた。

毎晩毎晩聴いた





    ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・





最初のフレーズが流れ出したとたん、涙がこぼれそうになった。




アルテックは何も変わっていない。


あの時の優しさを、ぬくもりを、

その音は忘れていなかった。





ひとしきり聞かせてもらって、嬉しくなった。





よかった。










頑固だけど素直なODさんだから、この音なんだよね。





よかった。









     ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・



私はすっかり気を良くした。


ODさんのメインシステムたる「二色ホーンシステム」を聞かせてもらうことにした。

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おお!

これはひどい!




ODさんのコメント等から大悪戦苦闘ぶりは聞いていたが、これほど苦労されているとは思わなかった。

ただ、ODさんはその原因も、理由も把握していらっしゃって、何をどうすれば解決するかも解っている。

解っているんだが、それでもこのじゃじゃ馬をじゃじゃ馬のまま乗りこなそうとしていらっしゃる。



ものすごい経験量を蓄積されているのが良く解る。

頭で考えただけでは得られない経験。

実際にやってみないと本当は解らない知識。

それが今あの明晰な頭脳に整理されつつあるんだろうな。




私がこのシステムを与えられたら即座にバラバラにしちゃうだろう。

しかし、ODさんはそれが一番早い解決法だと知っていて、それをやらない。


何故か


愛着だよね




もはや古臭いとも思える言葉だが、そうに違いないんだ。




愛情と言ってもいい。





それがある限り、このシステムは生きている。

生きて進化する。

そこには他人の入る隙間など無く、実に素晴らしいオーディオが存在する。

すばらしいオーディオ人生。

幸せなスピーカーたち。




    ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・




悪乗りのオーディオ談話は留まるところを知らず、

エスカレートもはなはだしい。。



「ヨハネスさんが近所に居なくて良かった」



などと言われてしまった。

たしかにそうかもしれないね。。




    ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・




再びリムジンで品川まで送ってもらった。

実に楽しい週末であったが、さすがに疲れた。



新大阪で何か食べようと思っていたが、時間が遅くマクドナルドしか開いてなかった。


家に帰り、冷えたマクドナルドを押し込みながら考える。

私はどこに落ち着くのだろう。


まともな終着点などありそうに思えない。




やはり、










不時着か?

by johannes30w | 2009-04-04 01:18 | オーディオと音楽


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